土地探しをしていると、
「この道は私道です」「位置指定道路です」「通行地役権が設定されています」など、
聞き慣れない言葉に出会うことがあります。
とくにアパート建築は、建築基準法上の“道路に接しているか”が非常に重要。
道路の種類によって建てられる建物や手続きが変わることもあるため、
まずは基本をやさしく整理してみます。
■ 私道(しどう)とは
文字通り「個人や民間が所有している道路」です。
公的な道路=公道とは異なり、所有者が存在する道だと理解すると分かりやすいです。
▼ 私道のポイント
・所有者が個人・企業・町内会など
・公道のように誰でも自由に通行できるわけではない
・建築基準法上の「道路」として認められる私道もあれば、認められない私道もある
・水道・ガス・下水などの工事で所有者の承諾が必要になることがある
とくにアパート建築では、その私道が「建築基準法上の道路」かどうかがとても重要です。
認められていない場合、家を建てられないケースもあります。
■ 位置指定道路とは
私道の中でも、建築基準法42条1項5号に基づき、
行政が「道路として使っていいよ」と正式に指定した道路のことです。
▼ 位置指定道路のポイント
・所有者はあくまで民間(私道)
・ただし、行政が幅員や排水設備などの基準を確認して「道路として良し」と認定
・建築基準法上の道路なので、この道路に2m以上接していれば建築可能
・アパート建築でもよく見られる
私道の中でも、比較的安心して使える道路と言えます。
ただし私道である以上、
老朽化した舗装の修繕や維持管理は所有者負担ということは押さえておきたいポイントです。
■ 通行地役権とは
少しイメージしづらい言葉ですが、
簡単に言うと、「他人の土地を通ってよい権利(通行の権利)」を設定する仕組みです。
▼ 通行地役権のポイント
・自分の家や土地に行くために、他人の土地を通る権利
・契約によって設定し、登記もできる
・道路そのものではなく、“通る権利”を確保する制度
・建築基準法上の道路とは必ずしも一致しない
たとえば、旗竿地の“竿”部分の幅が足りず建築基準法上の道路に接していない場合、
通行地役権だけでは建築基準法の「接道義務」を満たせないことがあります。
「通れる=建てられる」ではない点に注意です。
■ 3つの違いをまとめると
| 種類 | 説明 | 建築基準法上の“道路”になる? | ポイント |
| 私道 | 個人・民間が所有する道路 | 場合による (認定されている私道もある) |
工事の承諾や管理責任が所有者側 |
| 位置指定道路 | 行政が基準を確認し 「道路」として指定した私道 |
なる(建築可能) | 私道だが建築基準法上は公道扱い |
| 通行地役権 | 他人の土地を“通る権利”そのもの | ならない | 接道義務とは別の概念 |
■ アパート建築で注意したいポイント
①「建築基準法上の道路に接しているか」が最重要
接道が2m未満だと、基本的にアパートは建てられません。
② 私道は権利関係を必ず確認
・所有者は誰か
・通行の許可は明確か
・将来の維持管理はどうなるか
など、後々トラブルになりやすい部分です。
③ 位置指定道路は“安心度が高い私道”
ただし、あくまで私道なので管理義務は残る点には注意が必要です。
④ 通行地役権は「建てるため」ではなく「通るため」の権利
建築の可否とは別軸で考える必要があります。
■ まとめ
道路と聞くと一見シンプルですが、
所有者、法的な位置づけ、通行の権利によって意味が大きく変わります。
アパート建築を検討する際は、
土地の形状だけでなく、前面道路の種類・幅員・権利関係まで確認しておくと、
将来の手続きやトラブル回避にもつながります。
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