― 利回りだけに左右されない、実務的な考え方 ―
アパート経営において、家賃設定は収益を左右する最重要項目の一つです。
高く設定すれば利回りは良く見えますが、空室が続けば意味がありません。
一方で、低く抑えすぎると満室でも十分な収益が確保できず、将来の修繕や売却時に不利になることもあります。
では、家賃はどこまで上げてよく、どこまで下げてはいけないのか。
本記事では、家賃設定における「上限」と「下限」の考え方を整理します。
家賃の「上限」はどこで決まるのか
家賃の上限は、オーナーの希望ではなく市場が決めるものです。
実務上、次の3点が上限を決める軸になります。
① 周辺の成約家賃(募集ではなく“決まっている家賃”)
重要なのはポータルサイトの募集家賃ではなく、
実際に決まっている家賃水準です。
同エリア・同築年数・同程度の設備で「この価格帯以上は決まりにくい」というラインが、実質的な上限になります。
② 立地による“許容幅”
最寄駅からの距離、駅の利便性、周辺環境によって、
家賃には必ず許容されるレンジがあります。
駅徒歩5分と10分では、同じ間取り・設備でも上限は明確に変わります。
③ 設備・仕様による上乗せ可能額
オートロック、宅配ボックス、ネット無料などは、
「家賃を上げる」というより下限を押し上げる効果が中心ですが、
競合物件との差別化が明確な場合は、
月3,000〜5,000円程度の上乗せが可能なケースもあります。
ただし、設備投資額に対して回収年数が極端に長くなる設定は注意が必要です。
家賃の「下限」はどこで決まるのか
一方、家賃の下限は「空室を埋めるために下げられる限界」ではありません。
経営として成立する最低ラインという視点が重要です。
① ローン返済+固定費を下回らないこと
毎月のローン返済、管理費、修繕積立、税金などを踏まえ、
満室想定でなく現実的な稼働率(8〜9割)でも赤字にならない家賃が下限となります。
② 将来の修繕・更新を考慮する
家賃を下げすぎると、
・原状回復のグレードが下がる
・設備更新を先延ばしにする
・結果的に競争力を失う
という悪循環に陥りがちです。
「今埋めるための値下げ」が、
5年後・10年後の資産価値を削っていないかという視点が欠かせません。
③ 周辺相場を壊さない水準
極端な安値設定は、
その物件だけでなくエリア全体の家賃水準を押し下げる要因になります。
結果的に、次回の家賃改定や売却時の査定で不利になることもあります。
「上限と下限」の間で、どう決めるか
実務では、
上限いっぱいを狙う家賃
下限ぎりぎりで守りに入る家賃
そのどちらかではなく、
・募集開始時はやや強気
・反響状況を見て調整
・“下げない理由”を設備・デザインで用意する
という中間戦略が最も安定しやすいと感じます。
家賃は一度下げると戻しにくく、
逆に最初の設定は、その物件の「格」を決める要素にもなります。
まとめ
家賃設定における「上限」と「下限」は、
感覚や希望ではなく、
・市場
・立地
・設備
・収支構造
・将来の資産価値
これらを総合して決めるものです。
短期の満室だけでなく、長期で安定して回る家賃かどうか。
その視点を持つことが、アパート経営では何より重要だと言えるでしょう。
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