林藤彩弥加

デザイン営業部 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 第2種電気工事士・消防設備士乙6
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法人化の判断基準:いつ個人から法人へ切り替えるべき?

アパート経営を進めていくと、必ず一度は悩むのが
個人のまま続けるべきか」「法人化すべきか」 という問題です。

法人化には節税メリットがある一方、手間やコストも増えるため、
「とりあえず法人にすれば得」というものではありません。

ここでは、アパート投資に取り組む方が知っておきたい 法人化の基本的な判断基準 を、
できるだけ分かりやすく解説します。

■ 法人化を検討すべき“典型的なタイミング”

法人化には明確なラインがあるわけではありませんが、
一般的に次のようなケースでは検討する価値があります。

① 課税所得が900〜1,000万円を超えてきたとき

個人の所得税は累進課税のため、所得が増えるほど税率が高くなります。
ざっくり言えば、課税所得900万円を超えるあたりから
法人の方が税負担が軽くなる可能性が高まる
とされています。

② 複数棟を所有し、経費管理や収支管理が複雑になってきた

所有戸数や棟数が増えると、
・減価償却の管理
・修繕費の積算
・賃料収入の管理
などが複雑になります。
法人にすると会計が整理しやすくなるメリットがあります。

③ 家族への所得分散を活用したいとき

法人化すると、家族に給与として対価を支払うことができ、
適切な範囲で所得を分散できます。
不当に高額でなければ認められますが、実際に業務を行っていることが前提です。

■ 法人化のメリットと注意点

 

◎ メリット

・税率が一定(中小企業:23.2%)で個人より安定
・給与所得控除が使えるため、家族への所得分散が可能
・経費計上の幅が広がる(役員報酬、旅費規程など)
・物件を増やしやすい(金融機関の評価が安定しやすい場合がある)

法人化は「節税」だけでなく、投資の拡大や管理の効率化という観点でもメリットがあります。

 

▲ 注意点

・設立費用・維持費用(税理士顧問料など)がかかる
・社会保険の加入が必要になる
・法人の赤字を個人とは通算できない
・株の処理・決算など、運営の手間が増える

つまり、法人は「節税目的だけでつくる」と後で負担が大きくなる可能性があります。

■ アパート投資における法人化の考え方

アパート経営の法人化判断には、次の3点が軸になります。

① “所得の規模”が法人向きになっているか

まずは所得です。
節税だけでなく、将来どのくらい物件を増やす予定かも含めて考えます。

② 個人経営では管理に手間がかかりすぎていないか

家族経営の範囲から事業型へと移行したタイミングで、法人化の意義が大きくなります。

③ 金融機関の評価・借入戦略に合うか

個人での借入余力がいっぱいになった場合、
法人を新規で評価してもらうことで借入枠が広がるケースもあります。

ただし、金融機関のスタンスは異なるため、
 “法人の方が必ず借りやすい”というわけではありません

■ 法人化が向かないケース

以下のような状態であれば、無理に法人を検討する必要はありません。

・所得がまだ大きくなく、納税額も高くない
・物件は1棟のみで、管理も煩雑ではない
・今後しばらく買い増し予定がない
・生活のほとんどが給与所得で、不動産所得がごく小さい

法人化には維持コストがありますので、規模が小さいうちは“個人のまま”の方が合理的な場合も多いです。

■ 判断に迷うときの考え方

結局のところ、法人化の最適タイミングは「このライン」と断言できません。
判断材料としては、下記の順番で考えると整理しやすくなります。

1.将来の投資規模(増やす?現状維持?)
2.現在の所得と税負担がどこまで増えていくか
3.管理の手間・経理の複雑さはどうか
4.法人を維持するコストに見合うか

税務や財務は複雑なので、最終的には税理士や専門家に相談しながら
自分の投資スタイルに合う形を選ぶことが大切です。

■まとめ:法人化は“節税目的だけ”で判断しない

法人化は魅力的な仕組みではありますが、
税金を安くしたいからとりあえず法人
という判断はおすすめできません。

・所得規模
・事業としての拡大性
・管理の複雑さ
・金融戦略

これらを総合的に見ながら、段階的に検討することが重要です。

 

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