アパート経営では、様々な税金に対する軽減制度が存在しており、
所得税や相続税、固定資産税などの各種の税金を節税できる可能性があります。
やみくもに始めるのではなく、どの税金をどのように節税することができるのかを知り
上手に活用することができれば節税効果を十分に享受することが可能となります。
今回は、アパート経営の収益にかかる税金『 所得税・住民税 』の節税についてご紹介。
ポイント1 「損益通算」による節税効果
アパート経営から得られる所得は税法上、「不動産所得」にあたります。
サラリーマンが会社からもらう給料は「給与所得」にあたり、どちらも税額を計算する際、
それぞれの所得の合計を計算し、その合計額に税率をかけて税額を計算します。
給与所得がマイナスになることはまずありませんが、
家賃収入から必要経費を差し引いて算出される 総合課税方式 である「不動産所得」は
赤字となった場合、ほかの給与所得や一時所得、雑所得などの所得の黒字と
不動産所得の赤字を相殺することが認められているため
課税対象となる所得を目減りさせることが可能となっています。
このような仕組みを『 損益通算(そんえきつうさん) 』 と言い、この仕組みを利用することで
全体の所得を少なくすることができ、所得税や住民税の節税が可能となります。
給与など経常的に発生する所得の多い人、つまり、毎年高い税率が適用される所得のある個人が
アパート経営を始めて不動産所得をマイナスで計上すると、
本業の所得に対する税負担を大きく下げることができます。
ポイント2 「減価償却費」による節税効果
赤字では経営の意味がないのでは?と思われるかもしれませんが、
不動産所得は、“ 実際は黒字でも帳簿上は赤字になる ” ことは少なくありません。
とくにアパート経営を初めて最初の頃は、収入よりも諸経費(修繕費や広告費、固定資産税等)の方が多く、
加えて、アパートの購入価格を減価償却する場合、
減価償却費も経費として計上することで不動産取得は赤字になるケースが多くなります。
減価償却費とは、建物を買ったとき一度に経費にせず、
法定耐用年数で分割し、毎年少しずつ複数年にわたり経費として計上していくことをいいます。
何年で経費に計上していくかについては、税法上、建物の構造により償却期間が決まっており、
例えば木造は22年、軽量鉄骨は27年、重量鉄骨は34年、RC(鉄筋コンクリート)は47年となっています。
アパートなどの建物は通常、数千万円をかけて購入することがほとんどです。
そして、その購入金額に対する減価償却費として毎年、数百万円を経費に計上していきます。
これにより多額の費用を計上できるため、不動産所得はマイナスになりやすい仕組みになっています。
減価償却費は、あくまでも経年とともに建物価値を落とすために生み出された
会計上の概念としての費用であり、実際に手元からお金が出ていくわけではありません。
とはいえ費用を計上する以上、帳簿上は利益が減ることになり
税金は帳簿上の利益の額に応じて決まるものであるため
減価償却費の発生によって帳簿上の利益が減ることは、課税される税金の額が減ることにつながります。